鎌倉山の住宅

鎌倉山の住宅

所在地:神奈川県鎌倉市鎌倉山
設計:

Rstyle

用途:住宅
構造:木造
規模:地上2階建
敷地面積:200.59m²(60.67坪)
延床面積:130.06m²(39.34坪)
撮影:

松田 哲也 PHOTO-WORKS

かつて別荘地として知られた鎌倉山。その高台の一角に佇む敷地は、視界が大きく開け、四季ごとに表情を変える桜並木を望む恵まれた環境にあります。
この土地の魅力を最大限に生かすため、音楽と美術に造詣の深いお施主様の暮らし方に寄り添い、LDKと3つの寝室に加えて、ピアノ室とアトリエを備えたプランを構成しました。

外観は、落ち着いた佇まいを演出する塗り壁を基調としつつ、一部に目地をあしらい、単調にならない深みを持たせています。道路から階段を上がった先のポーチにはウッドデッキの“たまり”を設け、訪れる人を柔らかく迎え入れる余白の空間としました。

1階のピアノ室とアトリエは来客も多いことから、玄関正面に大きなFIX窓を配置し、光と眺めを取り込みながら、開放感のある迎賓スペースに。
2台のグランドピアノを収めるピアノ室は、床の補強はもちろん、天井・壁に微妙な傾斜をつけて音響特性を最適化。生まれた壁厚をニッチとして活用し、機能とデザインを両立させました。
アトリエは、直射日光による作品の色抜けを避けるため、ハイサイドライトから柔らかな光を取り込み、制作に集中できる均質な明るさを確保しています。

2階のリビングダイニングは勾配天井によって豊かな広がりを生み、天井の板貼りには白をほんのり纏わせたオイルステインを施し、ナチュラルでありながら凛とした質感に。
ハイサイド窓から覗く鎌倉の清々しい青空が、勾配天井の伸びやかさと響き合い、どこにいても心地よい開放感が広がります。

バルコニーや階段、家の随所から鎌倉山の景色が切り取られ、日々の暮らしの中に風景が溶け込む住まいとなりました。土地本来の魅力を丁寧にすくい上げ、暮らしの豊かさへと昇華した一邸です。